2012年04月10日

2012.4.10 「中飛車今昔」第2回

11sayuri26記

とめいさんの「いつもと違うことをやりたい」という発言に乗じて忘れ去られていた企画を発掘。前回は木村義雄の棋譜を並べたので、今回は大野源一(1911〜1979)の棋譜を並べた。

1局目
開始日時:1947/00/00
棋戦:順位戦
戦型:中飛車
持ち時間:7時間
手合割:平手

先手:萩原淳
後手:大野源一

手数----指手--
*放映日:1947/02/01-10
*棋戦詳細:第01期順位戦A級同率決戦
*「萩原 淳八段」vs「大野源一八段」
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
*現代だとゴキゲン中飛車の出だし。しかしこの時代は対して▲2五歩には▽5五歩▲2四歩▽同歩▲同飛▽3二金の力戦中飛車に進行するのが定跡だった。
5 5六歩(57)
6 6二銀(71)
*▽8八角成▲同銀▽5七角と馬を作る手もある。現代ではそれで後手指しやすいかと言われている。よって、5手目には▲2五歩が殆どである。
7 2五歩(26)
8 5三銀(62)
*前手▽6二銀から、右銀を繰り出す。現代では中飛車というと振り飛車で美濃囲いに囲うから、右銀を繰り出すことは基本的にないが、昔は「居飛車の中飛車」と「振り飛車の中飛車」があったのではないか?
9 4八銀(39)
10 4四銀(53)
11 2四歩(25)
12 同 歩(23)
13 同 飛(28)
14 3二金(41)
15 2八飛(24)
16 2三歩打
17 5七銀(48)
18 5五歩(54)
19 同 歩(56)
20 同 銀(44)
21 5六歩打
22 4四銀(55)
23 6六歩(67)
24 5二飛(82)
25 6八銀(79)
*中央を受けに行く。
26 5五歩打
27 6七銀(68)
28 5六歩(55)
29 同 銀(67)
*先手の形もあまり良いとはいえないと思う。
30 4二銀(31)
31 6八王(59)
32 5五歩打
33 6七銀(56)
34 4五銀(44)
35 5八飛(28)
36 6四歩(63)
37 7八王(68)
38 6二金(61)
39 4六歩(47)
40 5四銀(45)
41 7五歩(76)
42 6三金(62)
*後手は金銀三枚を押し上げる構想。4二の銀が5三〜4四と出てきた例もある筈だ。なんとなく中原流急戦矢倉を想起させる。
43 7六銀(67)
44 4一王(51)
45 6八金(69)
46 7二飛(52)
*先手の玉頭位取りを逆襲。これが受けにくい。
47 5六歩打
48 7四歩(73)
49 同 歩(75)
50 同 金(63)
51 5五歩(56)
52 同 銀(54)
53 5六歩打
54 4四銀(55)
55 2八飛(58)
56 8五金(74)
57 7七歩打
58 7六金(85)
59 同 歩(77)
60 同 飛(72)
61 7七金(68)
62 7二飛(76)
63 5八金(49)
64 5三銀(44)
65 6七金(58)
66 5四銀(53)
*銀を繰り替える。後手陣は好形で、歩得もしている。先手陣は悪形だ。会員の意見も後手優勢で一致。
67 7六歩打
68 6二飛(72)
69 9六歩(97)
70 9四歩(93)
71 7五歩(76)
*▽7三桂からの攻めをまともに食うようでは倒れてしまうから、プレッシャーをかけたのだろう。
72 5八歩打 
*軽妙な利かし。
73 同 飛(28)
*先手は玉飛接近形にさせられてしまった。4七の空間も気になる。
74 6五歩(64)
75 7四歩(75)
*ここで次の一手クイズを出した。▽7六歩(▲同金直で残念ながら効果がなさそう)、▽5五歩(▲同歩▽同銀▲6五歩となると攻めても後手玉への反動も厳しそう)が上がったが・・・
76 6四銀打
*手厚い!
77 6五歩(66)
78 同 銀(54)
79 6六歩打
80 7四銀(65)
81 6八銀(57)
82 7三桂(81)
*これで後手は飛角銀銀桂の攻撃態勢が完成。もはや受けることは不可能である。
83 5五歩(56)
84 6五歩打
85 5四歩(55)
*5筋を伸ばしてアヤを求めるが。
86 5七歩打
87 同 飛(58)
88 5二歩打
*前手▽5七歩が巧妙な利かし。利かしてから受ける。
89 5九飛(57)
*先手は飛の形を直したが、手番が後手に渡る。すると後手はほぼ0手で▽5二の盤石の受けを指せたことになる。85手目▲5四歩までの局面から後手がすぐに攻めることを考えてみると、本譜の方が随分後手にとって安全であるとわかる。
90 5五銀(64)
91 6五歩(66)
92 同 桂(73)
93 7三金打
94 6四飛(62)
95 6六歩打
96 7七桂成(65)
97 同 銀(68)
98 7五銀(74)
99 9七角(88)
100 6六銀(55)
101 同 銀(77)
102 同 角(22)
103 同 金(67)
104 同 飛(64)
105 6七歩打
106 7六金打
*飛を逃げない。
107 5六銀打 
*▲6六歩と飛を取るのは▽6七銀▲8八玉▽8七金▲同玉▽7六銀上以下詰みなので頑張るが。
108 6九銀打
*とどめの一撃。
109 同 飛(59)
*▲同玉は▽6七飛成で詰む。
110 5六飛(66)
111 6八銀打
112 8七金(76)
*以下は▲同玉▽7六銀からの詰み。ここで投了となった。

まで112手で後手の勝ち

2局目
開始日時:1962/08/30
棋戦:順位戦
戦型:中飛車

持ち時間:7時間

手合割:平手

先手:大野源一
後手:二上達也

手数----指手---
*棋戦詳細:第17期順位戦A級
*「大野源一八段」vs「二上達也八段」
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
*先手中飛車の構え。
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
*現代では5筋の位を許さない▽5四歩が多い。
7 5五歩(56)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二銀(31)
11 5八飛(28)
12 4四歩(43)
13 5七銀(68)
14 4三銀(42)
15 5六銀(57)
16 4二王(51)
17 4八王(59)
18 5二金(61)
19 3八銀(39)
20 7四歩(73)
21 3九王(48)
22 7三銀(62)
23 4六歩(47)
24 6四銀(73)
25 2八王(39)
26 3二王(42)
*4二玉型のままではさすがに仕掛けられない。
27 5九角(77)
28 7五歩(74)
29 同 歩(76)
30 7二飛(82)
31 4八角(59)
32 4二金(41)
*突き捨ててからじっと金を上がる。プロの呼吸である。
33 7八飛(58)
34 4五歩(44)
35 同 歩(46)
36 5四歩(53)
37 4四歩(45)
38 同 銀(43)
39 5四歩(55)
40 5五歩打
41 4七銀(56)
42 4五銀(44)
43 7六飛(78)
44 5四銀(45)
45 7七桂(89)
*先手陣は軽やかである。いつの間にか石田流のような形になった。
46 4三金(52)
47 5八金(69)
48 4四角(22)
49 1六歩(17)
50 1四歩(13)
51 8六歩(87)
52 5三角(44)
53 8五歩(86)
54 7五銀(64)
55 同 角(48)
*強手。
56 同 角(53)
57 6六銀打
*これで角を取り返せる。
58 7四歩打
59 7三歩打
*ここからの捌きが巧妙。まずは一本叩いておいて・・・
60 同 飛(72)
61 4四歩打
62 同 金(43)
63 7五銀(66)
64 同 歩(74)
65 6六飛(76)
*59手目の▲7三歩の効果でこの局面は▲6二角(飛金両取り)の先手になっている。
66 7四飛(73)
67 6二角打
68 4三金(44)
69 4四歩打
70 5三金(43)
71 同 角成(62)
72 同 金(42)
73 6五金打
74 同 銀(54)
75 同 桂(77)
*角銀交換の駒損ながら、先手は全ての駒が捌けているし、玉も堅いので優勢。
76 5二金(53)
77 5四歩打
78 同 飛(74)
79 4三銀打
80 同 金(52)
81 同 歩成(44)
82 同 王(32)
83 5三金打
84 同 飛(54)
85 同 桂成(65)
86 同 王(43)
87 5一飛打
*後手の駒台は溢れんばかりだが、玉の安全度は比べるべくもない。
88 5二銀打
89 2一飛成(51)
90 7四桂打
91 2六飛(66)
92 6四王(53)
93 1一竜(21)
94 3五金打
95 2三飛成(26)
96 7六歩(75)
97 8一竜(11)
98 7七歩成(76)
99 8四竜(81)
100 6五王(64)
101 8八桂打
*入玉を狙った後手だが、これが巧い決め手だった。以下▽同とは▲7七香で受けにくい。
*本局は久保九段が名局と絶賛した将棋である。

まで101手で先手の勝ち
posted by fuaishuu-diario at 00:00| Comment(0) | 中飛車今昔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月09日

2011.12.09 「中飛車今昔」第1回

11sayuri26の中飛車考察第1回。
ツノ銀中飛車(1図)から始めようということで、木村14世名人の棋譜を探したところ力戦中飛車ばかり出てきたのでそれを3局並べた。今のゴキゲンに似た出だしの戦法である。
001.png

1局目
開始日時:1924/10/22
棋戦:その他の棋戦

戦型:中飛車

場所:溝呂木光治宅

手合割:平手

後手:木村義雄
先手:岡村豊太郎
手数----指手---------消費時間--
*棋戦詳細:国民新聞掲載
*「岡村豊太郎六段」vs「木村義雄六段」
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
5 2五歩(26)
6 5五歩(54)
7 4八銀(39)
8 5二飛(82)
9 6八王(59)
10 3三角(22)
11 4六歩(47)
12 4二銀(31)
13 4七銀(48)
14 6二王(51)
15 7八王(68)
16 7二王(62)
17 6八銀(79)
18 4四歩(43)
19 3六歩(37)
20 9四歩(93)
21 9六歩(97)
22 4三銀(42)
23 1六歩(17)
24 1四歩(13)
25 5八金(49)
26 5四銀(43)
27 3五歩(36)
28 同 歩(34)
29 3八飛(28)
30 8二王(72)
31 3五飛(38)
32 7二銀(71)
33 3六飛(35)
34 3二金(41)
35 3七桂(29)
36 4三金(32)
37 2六飛(36)
38 5一角(33)
39 3六飛(26)
40 3四歩打
41 5六歩(57)
42 同 歩(55)
43 4五歩(46)
44 3三角(51)
45 5三歩打
46 同 飛(52)
47 5六銀(47)
48 5五歩打
49 4七銀(56)
50 4五歩(44)
51 4六歩打
52 同 歩(45)
53 同 銀(47)
54 5一飛(53)
55 4五銀(46)
56 5六歩(55)
57 3三角成(88)
58 同 桂(21)
59 5四銀(45)
60 同 飛(51)
61 6五角打
62 4四飛(54)
63 5五銀打
64 4九飛成(44) =2図
65 4三角成(65)
66 同 竜(49)
67 4四金打
68 2七角打
69 5六飛(36)
70 3八角成(27)
71 4七歩打
72 4二竜(43)
73 3四金(44)
74 3七馬(38)
75 4四銀(55)
76 4五角打
77 3三銀成(44)
78 同 竜(42)
79 同 金(34)
80 5六角(45)

まで80手で後手の勝ち
002.png
ここで▲5九金寄が見えるが、▽1九龍▲4三角成▽5七香で先手攻め合い負けと検討された。
先手の序盤は最も自然で穏やかそうである。仕掛けてから誤算に気付いたのだろうか。ちなみに現代のゴキゲン中飛車は6手目に▽5二飛と回る。7手目に▲2四歩といく手もあるが、本局では見送った。

2局目:
開始日時:1942/00/00
棋戦:その他の棋戦

戦型:中飛車

手合割:平手

後手:木村義雄
先手:塚田正夫
手数----指手---------消費時間--
*棋戦詳細:名人八七段勝抜戦
*「塚田正夫八段」vs「木村義雄名人」
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
5 2五歩(26)
6 5五歩(54)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 3二金(41)
11 3四飛(24)
12 5二飛(82)
13 2四飛(34)
14 5六歩(55)
15 同 歩(57)
16 8八角成(22)
17 同 銀(79)
18 3三角打
19 2一飛成(24)
20 8八角成(33)
21 7七角打
22 8九馬(88)
23 1一角成(77)
24 5七桂打
25 5八金(69)
26 5六飛(52) =3図
27 4八金(49)
28 7九馬(89)
29 5七金(58)
30 同 馬(79)
31 4九王(59)
32 5八金打
33 同 金(48)
34 同 馬(57)
35 3八王(49)
36 2六歩打
37 2七歩打
38 4八銀打

まで38手で後手の勝ち
003.png
27手目▲4八金が敗着。▽7九馬で痺れた。この局面での正着は3局目でわかる。

3局目:
開始日時:1947/06/06
消費時間:▲370△471
棋戦:名人戦

戦型:横歩取り(←誤りである)
場所:東京都中野区「新モナミ」

持ち時間:8時間1日制
手合割:平手

後手:木村義雄
先手:塚田正夫
手数----指手---------消費時間--
*棋戦詳細:第06期名人戦七番勝負第7局千日手指し直し局
*「塚田正夫八段」vs「木村義雄名人」
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
5 2五歩(26)
6 5五歩(54)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 3二金(41)
11 3四飛(24)
12 5二飛(82)
13 2四飛(34)
14 5六歩(55)
15 同 歩(57)
16 8八角成(22)
17 同 銀(79)
18 3三角打
19 2一飛成(24)
20 8八角成(33)
21 7七角打
22 8九馬(88)
23 1一角成(77)
24 5七桂打
25 5八金(69)
26 5六飛(52) =3図
27 6八桂打
28 4九桂成(57)
29 同 王(59)
30 5八飛成(56)
31 同 王(49)
32 6二王(51)
33 5三歩打
34 7二王(62)
35 5五馬(11)
36 5四歩打
37 同 馬(55)
38 6四金打
39 3六馬(54)
40 5七歩打
41 同 王(58)
42 8二王(72)
43 6六香打
44 5九銀打
45 6四香(66)
46 同 歩(63)
47 7五桂打
48 7二銀(71)
49 6三金打
50 同 銀(72)
51 同 馬(36)
52 7二金打
53 5二歩成(53)
54 6三金(72)
55 6一と(52)
56 3五角打
57 4六歩(47)
58 7九馬(89)
59 3二竜(21)
60 同 銀(31)
61 8三桂成(75)
62 同 王(82)
63 8四銀打

まで63手で先手の勝ち
2局目から5年後、同一カードで名人戦最終局である。3図から▲6八桂が塚田の改良案。木村は金2枚を奪ってから玉を囲って粘るが、最後は鮮やかな寄せで決まった。投了図では詰んでいる。ちなみに「棋譜でーたべーす」ではこの将棋は「横歩取り」に分類されている。妙なことである。
posted by fuaishuu-diario at 00:00| Comment(0) | 中飛車今昔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。