2014年10月03日

2014.10.3 角換わり棒銀の諸変化

例会の内容を元に編集した。

§1 初手▲2六歩からの合流
 角換わりのオープニングと言えば普通▲7六歩▽8四歩▲2六歩▽8五歩…であるが、初手▲2六歩の場合も、双方の意思次第で合流する可能性がある。
(初手から)
▲2六歩▽3四歩▲2五歩▽3三角▲7六歩▽2二銀▲3三角成▽同銀▲8八銀▽8四歩▲3八銀▽8五歩▲7七銀▽3二金▲7八金▽7二銀(1A図)
が一例。

 もっとも、現代的には双方甘い手順ではある。先手は早く▲2五歩を決めてしまうと作戦の幅を狭めるので、角換わりではあまり好まれない。7手目は▲6六歩から藤井流の矢倉(早囲い)としたいところだろう。とはいえ、形を決めてしまったから形勢が悪くなるということではない。
 問題は後手で、お付き合いのように8筋を突き越していくのは不急の手である。飛先は保留して右銀の活用を急ぎたいところだろう。ただし今回は初級者同士の対戦を想定してこれを本譜に採った。
 9手目▲8八銀では▲7八銀や▲6八銀も考えられる。ただし、▲7八銀には▽6五角が少し注意したいところで、以下▲3八銀▽7六角となった形は、先手は▲7七銀型に組めず(▽8七角成を食う)、すなわち▲7八金とも上がれない(銀が邪魔)。ひとまず左美濃にして玉を8八に持っていけば、そこで漸く▲7七銀・▲7八金と指せる形であるが、これでは作戦負けかもしれない。また、▲6八銀は、後手が角交換振り飛車できた場合に▲7七銀型(矢倉型)と▲6七銀型(左美濃)の余地があるが、そうとあらば▲8八銀型で矢倉型と銀冠の余地を残した方が、銀冠は堅いから現代的だし、それに最序盤の玉の移動もスムーズにできるので(すぐに▲6はち玉〜▲7八玉と動ける)、こちらを本手とした。
 結論は、初手▲2六歩から角換わりにするのは先手ばかり形を決めることになりやや損である。中級以上の実力であれば、7手目は▲6六歩と止めて藤井流の矢倉にしてみたい。

§2 後手の角換わり棒銀対策・銀交換拒否が面白くない理由
 先手の棒銀が▲1五銀と出た瞬間に後手が▽2二銀と引いて銀交換を拒否する作戦を調べる。
(初手から)
▲7六歩▽8四歩▲2六歩▽8五歩▲7七角▽3四歩▲8八銀▽7七角成▲同銀▽4二銀▲7八金▽3二金▲3八銀▽7二銀(2A図)

 2A図は角換わりの基本図ともいうべき形である。ここから先手が棒銀をやるなら、すぐに銀を繰り出していくのがよい。
(2A図から)
▲2五歩▽3三銀▲2七銀▽7四歩▲2六銀▽7三銀▲1五銀(2B図)

 後手は早繰り銀で対抗するのがよい。俗に角換わりジャンケンの法則などと言って、「棒剋腰掛、腰掛剋早繰、早繰剋棒」である(ただし実際は腰掛け銀が棒銀に対抗する手段の研究が進んだ結果、現在では腰掛け銀の一人勝ち状態になっている)。とはいえ、後手は早繰り銀にしたからといって先手の棒銀を簡単に打ち破れるということではなく、実際は激戦であると考えておいてもよいと思う。
(2B図から)
▽2二銀(2C図)

 2B図での定跡は▽5四角だが、この▽2二銀もなかなか魅力的に見える。
この手の狙いは@銀交換を拒否しA先手に大きく手損させ(先手は銀を1五〜2六〜2五と立て直さなくてはならない)Bその間に先攻する、ということである。一見良いことずくめなのだが、実際にはそうは問屋が卸さない。手順を並べてみればあることに気付く。
(2C図から、指し手イ)
▲2四歩▽同歩▲同銀▽2三歩▲1五銀▽6四銀▲2六銀▽9四歩▲2五銀▽7五歩▲同歩▽同銀▲7六歩(2D図)

 ▽9四歩は必要経費。これを入れておかないと8六で銀交換をしたときに▲9五角の王手飛車で終わってしまう。これを一手入れないといけないのが早繰り銀の一つの短所でもある。とはいえ本譜は先手の手損も大きいので、予定通り▽7五歩でうまく先攻したように見える。ところがごく平凡に応じられた2D図、ここで後手はハタと困ってしまう。
(2D図から、指し手i)
▽8六歩▲7五歩▽8七歩成▲8三歩(2E図=先手優勢)

 後手は▽8六歩が手筋なのだが、2E図の▲8三歩までピッタリと受かる。なぜ先手がこの歩を打てるかというと、前譜の最初(▲2四歩▽同歩▲同銀▽2三歩▲1五銀)で一歩を手持ちにしておいたからである。つまり、後手の狙いBは成立していない。
(2D図から、指し手ii)
▽8四銀▲3四銀▽9五銀▲5六角(2F図)

 ということで2D図で後手は銀を引き揚げるしかない。そこで先手は▲3四銀と進出して一歩得をはたす。最終手▲5六角は難しいところだが、一例として示しておきたい。後手は▽4一角ぐらいしかないが、▲9六歩▽8四銀(▽8六歩▲同歩▽同銀には▲8三歩がある)▲6六銀といった展開はどうか。角銀の働きが良い先手が指しやすいと思う。
(2C図から、指し手ロ)
▲2四歩▽同歩▲同銀▽2三歩▲1五銀▽8四銀▲2六銀▽9四歩▲2五銀▽9五銀(2G図)

 先手が2筋を交換したのに対し、後手は▽8四銀とこちらに出る方が良い。もともと早繰り銀を目指す流れだっただけに、ちょっとした盲点と言えるかもしれない。しかし指し手イで見たように7筋交換からの攻めが利かずに手損するのであれば、最初から8四に出ていくべきなのである。とはいえこの場合も▽9四歩は税金になる。2G図はなかなか難しい。先手はすぐに▲3四銀と出て▽8六歩▲同歩▽同銀▲同銀▽同飛▲8七歩▽8二飛以下角銀を手持ちにしあって戦うか、或いは一旦▲8八銀と銀交換拒否の手筋を返し、▽8六歩▲同歩▽同銀▲8七歩▽9五銀▲3四銀と進めるか、選択する権利があるだろう。後手は▽7四歩・▽9四歩の2手の分立ち後れているのである。

§3 塚田新手(▽5四角)に対して▲2六飛(大友流)
 定跡は先手の棒銀が出てきたとき(3A図=前章2B図)に▽5四角と打つ塚田正夫新手。私は大山流だと思っていましたが、勘違いでした。

(3A図から)
▽5四角(3B図)

 これはなかなか優秀な手で、▲2四歩▽同歩▲同銀には▽2七歩でたちまち後手勝勢になる。この手に対する手はいくつかあり、▲3六角、▲5八金、▲2六飛、▲3八角(升田新手、現在の定跡)などである。このうち▲3六角は▽同角▲同歩▽1四歩▲2六銀(▲2四歩は▽同歩▲同銀▽同銀▲同飛▽1五角が王手飛車)、▲5八金は▽1四歩▲2六銀と進むと、いずれも先手は一旦銀を引く将棋になる。今回は、それは面白くないとみた▲2六飛(調べてみたら大友流と言うらしい)を検討した。わかりやすく▽2七歩の叩きを避けた手である。
(3B図から)
▲2六飛(3C図)

 しかしみるからに1五銀が危ない。これが▽1四歩で詰まされるようなことになっては目も当てられなくなる。そして後手はそれを狙いにしながら受けに回ることになる。
(3C図から)
▽2二銀▲2四歩▽同歩▲6六角(3D図)

 前章と違い、今回は▽2二銀の銀交換拒否が通る。先手が単に▲2四歩▽同歩▲同銀とくれば▽2三歩▲1五銀▽1四歩で銀が詰むからである。これは2六飛型が祟っている。そこで先手は前進あるのみと▲6六角と打つ。当然次に▲2四銀▽2三歩▲2二角成▽同金▲2三銀成の突撃を狙っている。さて、後手はどう受けたものだろうか。
(3D図から)
▽3三桂▲2四銀▽2三歩▲3三角成▽同金▲同銀不成▽1五角(3E図)

 3D図で▽3三銀は▲2四銀でまずい。しかし▽3三桂が柔軟な受けで、破れない。本譜は▲2四銀から突撃したが、▽1五角が返し技である。ちなみに6手目▲(3三)同銀不成のところ▲同銀成だと▽4四角もある。いずれにせよ飛銀両取りがかかる。ただし、後の手順を考えたときに角は1五から打たせた方が良い気がするから、不成を本譜とする。
 これは痛そうだが、しかしここで検討を打ち切って本当に良いのだろうか、というzacchi氏の指摘があった。というのは、後手の5四角が狭いため、先手はそこを狙えそうなのである。
(3E図から)
▲2八飛▽3三角▲4六桂▽4五角▲5六金▽同角▲同歩▽2四角(3F図)

 3E図で▲5六飛と回り、▽3三角▲4六桂として飛成を狙うのは、素直に▽4五角▲5三飛成▽5二金と応じられて竜が詰んでしまう。
 本譜は▲2八飛と引き揚げ、▲4六桂以下角の捕獲に期待した。▲5六金では▲3六金とこちらから打つのも考えられるかも知れない。いずれにせよ▽同角▲同歩と進んで局面は▲桂−▽銀の後手やや駒得に落ち着く。しかし後手陣は右辺が薄くなっており、そう簡単ではない。先手は▲3四桂が入ればもう一歩取りながら駒損も回復できそうだ。3E図の▽1五角と打たれた瞬間はいかにも鮮やかに切り返された感があったが、実際はそこまでではなかったということである。最終手▽2四角は柔らかい指し方。@金銀を手持ちにしたままA▲3四桂の筋を緩和しB2二銀の活用も見ている手である。反面、質駒になっている。
 3F図以下の検討は行われていないが、陣形が低く、持ち駒角一枚の先手が手を作っていくのも容易ではないのであるまいか。一方の後手は歩切れだが、▽3三銀や▽6四銀など指したい手はいくつかある。総合して考えると後手を持ちたい、というのが一同の感想であった。
posted by fuaishuu-diario at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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